
茨城県行方市のシンボルハウス(築8年)を訪れた家族の体験談。縁台に座って庭を眺める時間が教えてくれた「本当の豊かさ」と縁台・縁側のある注文住宅を設計する際のポイントをご紹介します。
※ この記事に登場するシンボルハウス(茨城県行方市・2018年竣工)は、ご予約のうえ実際にご見学いただけます。
▶ シンボルハウス見学のご予約はこちら(お問い合わせフォーム)
心地よい風が吹く縁台で、家族の本当の幸せを。
先週末のことです。
茨城県行方(なめがた)市の、静かで穏やかな空気に包まれた私の「シンボルハウス」へ、一組のご家族が訪ねてくださいました。
この場所は、けっして「便利な場所」ではありません。鉄道が通っていないこの街の、最寄り駅からも遠く離れた、いわゆる「日本の原風景」が残る場所です。しかし、梅雨の晴れ間に見せるこの時期の行方は、思わず見とれてしまうほどみずみずしく、美しい景色を見せてくれます。5月に植えられた苗はすくすくと育ち、今や田んぼ一面を鮮やかな青緑色に染め上げています。霞ヶ浦(かすみがうら)から渡ってくる風は、雨上がりの草木の香りをたっぷりと含んで、心地よく吹き抜けます。遠くには、夏の始まりの力強い光を浴びた筑波山が、深い緑をたたえた静かな姿で私たちを見守ってくれています。
私たちは自然と、外へとつながる縁台(えんだい)に腰を下ろしました。
木のぬくもりに身をゆだね、ゆったりと流れる時間に浸りながら、ご家族が胸の奥に抱えていらっしゃった「本当の想い」を伺いました。
緊迫していた中東情勢にはようやく落ち着きが見え始めたものの、物価高は依然として高い水準で止まったままの2026年6月。少しずつ安心できるニュースも増えてきましたが、まだ先行きが見通しづらい空気は残っています。テレビやSNSの情報を見ながら、奥様もご主人も「物価が高止まりしているこんな状況で、本当に家づくりを進めていいのだろうか」と、焦りと不安の間で立ち止まってしまわれていました。
今日は、あの日の縁台で共に分かち合ったお話の続きを、同じように迷いの中にいらっしゃる皆さまへ、そっと届けることができれば幸いです。
「焦り」というノイズを、一度静かに横に置いてみる
現代は、望まなくても心がざわつく情報が耳に届く時代です。「これ以上待っても資材は安くならないのだろうか」「今のうちに無理をしてでも土地を決めてしまうべきか」「いっそ賃貸のままの方がいいのかも……」。物価が大きく下がらないからこそ、何かに急き立てられるように答えを出そうとしてしまうお気持ちは、私もひとりの人間として、痛いほどよく分かります。少しでも損をしたくない、家族に苦労をさせたくないと思うのは、あなたが家族を心から大切に想っている素敵な証拠です。
しかし、どうか一度、肩の力を抜いてみてくださいね。焦っているときは、自分たちにとって本当に大切なことを見落としがちになります。不安に背中を押されて決めてしまうと、あとになって「私たちが本当に望んだ暮らしは、これだったのかな」と、少し後悔してしまうかもしれません。
だからこそ、あえて一度立ち止まって、深く呼吸を整えてみませんか。そして、皆さまが家づくりを考え始めたときの、あの温かい「原点」を思い出してほしいのです。
「この広い空の下で、子供たちの成長をのびのびと見守りたい」
「柔らかな光が差し込む場所で、穏やかに家族と朝を迎えたい」
損得や、高止まりする価格の数字だけに振り回されるのではない、そんなささやかだけれど何より大切な「理想の日常」を、もう一度見つめ直してみませんか。
変えられない世界よりも、確かな「足元」を固める
世界情勢や物価の動きを、私たちの力で変えることはできません。変えられないことに心を痛め、エネルギーを使い切ってしまうのは、とてももったいないことです。それよりも、社会の動きが「今の水準」で落ち着き、これからの計画が立てやすくなった今だからこそ、まずは「自分たちの足元」を、ひとつずつ丁寧に整えていくのはいかがでしょうか。
未来という大きな木を支えるために、まずは心のゆとりをくれる、確かな一歩から始めてみるのです。
たとえば、今の物価水準をベースにしながら、これからの人生を無理なく楽しむための資金計画をじっくりと立ててみること。そして、将来の予算を確定させて安心するために、銀行での事前審査を早めに済ませておくことも大切なステップです。何より心強いのは、皆さまの価値観に心から共感し、予算の中で最大の豊かさを一緒に考えてくれる、設計士というパートナーをあらかじめ決めておくことです。
信頼できるパートナーと一緒に土地探しを続ける、こうした一歩一歩の積み重ねが、やがて家族を守る強い土台となります。物価が高止まりしている時代だからこそ、この足元さえ整っていれば、本当に納得のいく「ここだ」と思える土地に出会えたとき、迷うことなく、穏やかな笑顔で一歩を踏み出すことができるのです。

「ご縁」のある土地を、五感を使って手繰り寄せる
土地探しにおいて、価格や広さといった「数字」は確かに重要です。しかし、数字の条件をすべてクリアした場所が、必ずしもご家族の豊かな安らぎを約束してくれるわけではありません。土地との出会いは不思議なもので、ある日突然、思いがけない「ご縁」として目の前に現れるものです。その瞬間に「ここだね」と確信を持って決めるためには、日頃からの小さな準備が優しく背中を押してくれます。
画面上の情報を見るだけでなく、天気の良い日も、そうでない日も、実際にその場所へ何度も足を運び、その土地の雰囲気を肌で感じてみてください。
そこを吹き抜ける風の心地よさ、時間ごとに変わる光の差し込み方。周辺の環境が、自分たちの感性とぴったり合って心地いいかどうか。行方市のような自然豊かな場所であれば、日当たりや雨の日も含めた風通しの良さは、その後の暮らしの心地よさを大きく左右します。
実際に現地へ行って環境を確かめ、自分たちがどんな場所に心地よさを感じるのか、その感覚を確かめ続けてみてください。あらかじめ自分たちの好きな感覚が分かっていれば、せっかくのご縁に出会ったとき、迷わずそのチャンスをつかむことができるはずです。自分自身の感性を信じて磨くことこそが、最良のご縁を引き寄せる、何より温かい準備になります。
設計士という「伴走者」といっしょに、土地を見つめる
もし心が惹かれる土地が見つかったら、どうかお一人で抱え込まないでくださいね。人生の大きな決断を自分たちだけで背負うのは、少し荷が重くなってしまうものです。理想は、信頼できる設計士といっしょに、その土地に立ってみることです。専門的な目線も交えながら現地を眺めることで、今まで気づかなかった新しい景色の可能性が見えてきます。
「この向きに窓をつくれば、大好きな景色と心地いい風が毎朝入ってきますよ」という提案があったり、「一見使いにくそうなこの形こそが、家づくりの個性を生む特別な鍵になりますよ」というアドバイスをもらえたり。
それは、コストや将来への不安を、これからの「未来へのワクワク」へと変えていく時間です。パートナーといっしょに判断することは、自分たちだけでは気づけなかったリスクを避け、心から納得のいく暮らしを形にするための、一番優しくて確かな近道になります。
行方の地で味わう、時に抗わない「ゆとり」の暮らし
行方市の豊かな自然に囲まれた私のシンボルハウスには、現代が忘れかけている「ゆったりとした時間」が流れています。住宅街ではけっして味わえない、五感が優しくひらいていくような感覚。雨上がりのしっとりとした空気の中、縁台に座り、青々とした筑波山を眺めながら、ただ風に吹かれる。そんな一見「効率」とは無縁に思える時間のなかにこそ、人間らしい暮らしの本当の豊かさが宿っていると私は信じています。
今の社会は、あまりにスピードを求めすぎているのかもしれません。けれど、大切な家族とこれから何十年も暮らしていく家をつくるのですから、そんなに急ぐ必要はどこにもないはずです。
価格の波に振り回されることなく、腰を据えてじっくりと土を耕し、種をまく準備を整える。その迷ったり悩んだりする過程すらも、家族の「家づくりという物語」の大切なひとコマとして楽しんでいただきたいのです。私は、ただ立派な建物を造るのではなく、その土地の良さを引き出し、家族が心から安らげる「居場所」をいっしょに創りたいと考えています。焦らず、じっくりと。そんな家づくりの原点を、大切に育んでいきませんか。

おわりに
今は、これまでの急激な変化の波が収まり、新しい時代の基準が見えてきた時期です。だからこそ、周りの騒がしい声にまどわされることなく、ご自身の「心地よい」と感じる直感を信じてみてください。
たとえどのような経済環境であっても、家族の幸せを願い、足元を固めていく純粋な想いがあれば、必ず納得できる家づくりは叶えられます。あの日、縁台でお話ししたご家族のように、皆さまの歩みにそっと寄り添う存在でありたい、そう願っております。
行方の豊かな自然と調和する暮らしが、どれほど心を穏やかに満たしてくれるか。もしよろしければ、それを肌で体験しに、シンボルハウスへ気軽に遊びに来てください。梅雨の晴れ間の爽やかな風が吹き抜ける縁台に座って、皆さまの想いをゆっくりとお伺いできる日を、心から楽しみにお待ちしております。
シンボルハウス見学のご案内
このページでご紹介した時間は、どなたでも実際に体験していただけます。
建物:シンボルハウス(2018年竣工・築8年)
場所:茨城県行方市(詳しい場所はご予約時にご案内します)
形式:ご予約制/代表・建築士の荒木田が直接ご案内します
ご予約方法:お問い合わせフォームより「シンボルハウス見学希望」の旨と、ご希望の時期をご記入の上、送信してください。日程はご相談のうえ決定させていただきます。


コメント