無垢材の反りと納まり|無垢材の反りや隙間は欠点?【茨城・千葉|設計と土地】

ガラスの器に灯された複数のキャンドル 家づくりコラム

木の家選びは、結婚に似ている

家づくりを考えるとき、無垢の木に囲まれた暮らしに憧れる方は多いですよね。 でも、木の家を選ぶのは、実は少し「結婚」に似ているかもしれません。

見た目の美しさ(外面)だけで決めるのではなく、その性格やクセ(内面)を深く知って、まるごと愛せるかどうか。そこが、数十年後に「この家で良かった」と思えるかどうかの分かれ道になります。

今回は、知っているようで知らない「木の内面」について、少しマニアックに、そして愛を込めてお話しします。

「スピード婚」のような家づくり、していませんか?

芸能界で時折話題になるスピード婚。お互いを深く知る前に勢いで決めてしまうと、後になって「こんなはずじゃなかった」と驚くこともあるかもしれません。

家づくりも同じです。特に天然の木を使った家は、工業製品のように「ずっと変わらない」ものではありません。一見すると素敵ですが、木には木なりの「都合」があります。 その個性を理解せずに暮らし始めると、思わぬ変化に戸惑ってしまうことも。まずは、木の「本当の性格」を知ることから始めてみませんか?

 木は、お家になってからも「旅」を続けている

木は山で育ち、伐採され、お家の材料になった後も、実は「生き物」として動き続けています。 湿気が多い時期には水分を吸って膨らみ、乾燥する時期には水分を吐き出してギュッと縮む。木が話せるなら、きっとこう言うでしょう。

「私と暮らしたいなら、少しのワガママ(反りや隙間)は笑って許してね」

もしも木が全く動かなくなってしまったら、それは自然の力を失った、ただの「箱」になってしまった証拠。木が動くのは、お家の中で木が呼吸し、あなたと一緒に生きている証なのです。

「ビーフジャーキー」に似た、木の収縮のひみつ

なぜ木は動くのでしょうか。それは、木の中に含まれる「水分」が関係しています。 山で生きていた頃の木は、たくさんの水を吸い上げています。そこから乾燥させて材料にするのですが、水分が抜けるときに体は少しずつ縮んでいきます。

ちょうど、お肉が乾燥してギュッと引き締まる「ビーフジャーキー」としわの寄り方は似ています。この「乾くと縮む」という性質をあらかじめ知っておけば、床に小さな隙間が空いても「ああ、今は乾燥している時期なんだな」と、季節の移ろいとして楽しめるようになります。

「赤身」と「白太」。内面の違いが個性を生む

木の断面をのぞいてみると、中心が赤っぽく(赤身)、外側が白っぽい(白太)ことがわかります。この2つの部分には、面白い性格の違いがあります。

・白太(しらた): 若い部分で、水分が大好き。その分、乾くとよく縮みます。

・赤身(あかみ): 木が成熟した部分。水分が少なく、虫にも強い。とてもタフで腐りにくい、木の「核」となる部分です。

この性格の違う二人が一枚の板の中にいるからこそ、乾燥したときに反りや曲がりが生まれます。でも、その「不揃いさ」こそが、世界に一つだけの表情を作り出してくれるのです。

深く知るほど、家は「家族」になっていく

結局のところ、木の家づくりで一番大切なのは、完璧を求めることではなく「内面を知って寄り添うこと」です。

「隙間が空いた」「色が少し変わってきた」 それはトラブルではなく、家があなたに馴染んでいくプロセス。 急がば回れ。表面的な良さだけでなく、木の性質を深く理解して選んだ家は、年月を重ねるほどに味わいが増し、代えがたい「家族の一員」になってくれるはずです。
木が動くことを前提とした納まりとは、突き詰めれば「どう隙間をつくるか」「どう逃がすか」ということです。

反りや収縮を止めようとすれば、木は割れます。動く方向を読み、動いても支障が出ない場所へ逃がしてやる。この「サバを読んだ」つくりができるのは、長年木と共に建築を営んできた設計と、職人の技が噛み合ってはじめてです。

あわせて、地震による建物自体の動きも考慮します。木の動きと建物の動き、その両方を見込んだうえで納まりを決めていきます。

隙間を許容する納まりは、仕上げの美しさとも直結します。

動く前提でつくられた木の家は、数年後に建具の建て付けが狂うことがありません。逆に、動きを見込まずぴったり納めた家ほど、後になって不具合が出てきます。最初に逃がしておくことが、長く美しく使うための条件です。

木が動くことは、欠点ではありません。

工業製品のように寸分違わぬ状態を保つことはできませんが、その代わりに、割れも反りも含めた表情が、年月とともにその家だけのものになっていきます。動きを止めようとするのではなく、動くことを織り込んで設計する。それが木と長く付き合う方法です。

私が木の動きを、欠点と呼ばないのはなぜか

無垢の床に隙間ができたら、不良だと感じられるでしょうか。

私は、木が生きている証だと考えています。梅雨に膨らみ、冬に縮む。これは止められません。止めようとするほど、どこかに無理が出ます。

大事なのは、動きを家全体で受け止めることです。床に杉無垢30ミリを使うなら、壁も呼吸できる漆喰か珪藻土にしておく。ビニールクロスで壁を塞ぐと、逃げ場をなくした湿気が木へ回ります。

木材商として毎日数千本の材木に触れた5年間で覚えたのは、この当たり前でした。頭ではなく、手で覚えたことのほうが、いまの設計には効いています。

おわりに

木の家は、手がかかるかもしれません。でも、その分だけ、他の素材では味わえない温もりと、育てる喜びを返してくれます。 「このクセも、木の魅力だよね」 そう笑い合えるような、あなたらしい家づくりを応援しています。

まずは、私の家づくりと総額をご覧ください。

追加費用の出ない総額を、あらかじめすべて公開しています。

誠実な家づくりと総額を見る

建築士のプロフィールを見る

コメント

見学・ご相談